IT分野の所得税納付の方法

業務委託される際、その報酬が源泉徴収されるのかどうかは、主にその業務が請負であるかどうかによって判断される。
所得税法204条には業務委託でも源泉による所得税徴収が義務付けられている職種が決められているが、委託される仕事の内容や職場の状況でも源泉徴収が必要かどうかが決まるのだ。
これは、IT分野においても変わることはない。
フリーランスエンジニアは、業務委託の源泉徴収に関する知識は備えておく必要がある。
法人に対してIT作業が委託される場合、支払われる対価に対する所得税の納付義務はその委託先の法人に生じるため、委託元が源泉から所得税を徴収する必要はない。
一方で個人事業主に対して業務委託される場合は、職場での状況に応じて所得税納付の方法がより複雑に異なる場合がある。
即ち、一般的なプログラミングの作業であった場合は「請負」の形態を取る場合が多く、その場合は個別に確定申告によって所得税を納付しなければならない。
しかし、プログラムの設計やIT技術を用いた意匠の作成といった場合に支払われる対価は、所得税法204条が規定する「デザインに対する報酬」となり、その所得税はそうしたプログラムや意匠の恩恵に浴する委託元が源泉から徴収して納付する必要が生じる。
職場の状況次第では、一般的なプログラミング作業とデザイン作業を並行して行うようなケースもあるが、原則的にはこの場合、報酬を確定申告分と源泉徴収分でわけなければならなくなる。
しかし、それでは業務の委託元と委託先双方に多くの負担がかかってくるため、最初に契約する段階でどのような形態で報酬を支払うのか、所得税納付の方法はどうするのかを確定させておくのが通例だ。